日本六古窯と私的六好窯
その4「信楽」

update:2018/04/18

私的六好窯の第4回は信楽焼。主要地は、滋賀県甲賀郡信楽町です。

信楽は、六古窯の一つでとにかく歴史が古い。正確な発祥時期も諸説あり、聖武天皇が造営した紫香楽宮(しがらきのみや:天平時代)の時期に瓦を焼いたものを最初とする場合もありますが、はっきりと確認できるのは、中世期、当時の消費ナンバーワンの壺・甕(かめ)・擂鉢(すりばち)の生産のころからです。
そして、室町・桃山の茶陶の隆盛にともなって、多いに愛され、さらには江戸時代から昭和へと日常雑器が大量に作られ、現在まで火が途絶えることがありません。

信楽焼の大きな特徴は、釉薬(ゆうやく:うわぐすり)を掛けず、信楽の土で形をつくり、高温で長時間焼いた、素朴で力強いやきもの。信楽の土は荒々しく、薪窯の灰が付着して釉薬に変化してできる自然釉(信楽焼の場合、特に自然釉の青い溜まりをビードロ釉と呼ぶ)に、土の粒が見え隠れしており、独特の「侘び・寂び」が人気です。

信楽焼と言えば、現在は狸の置物も有名で、関西の家庭には一つか必ずある(・・・と筆者の周辺の関西人が証言していますが、だまされているかもしれない)そうです。真偽はともかく、あちこちで見かける縁起物であることは間違いありません。信楽の駅前にも巨大な狸が出迎えています。

さて、信楽の観光ですが、ここはできれば車がオススメです。京都から車で行っても高速が開通したため、とても便利になりました。それに、観光ポイントをすべて歩いてまわるのは、ウォーキングになれた方でないと、覚悟が必要でしょう。幸い、車を止めるところには、そんなに不自由はしないと思いますよ。

さて、街とその周辺エリアを散策しましょう。

信楽では、やきもの買い物も楽しいですが、体験教室があちこちにあるのも注目。当日の申込がOKなところもありますが、いろいろありますので、事前に調べておくことをオススメします。夏休みの時期などは親子教室なども企画されますので、それも注目。秋の陶器まつりの時期には大勢の観光客でにぎあいますが、あえて時期をはずして、隠れ里のような静かな風情を愉しむのもいいものです。

また、丘を登ったところにある信楽陶芸の森には是非行っていただきたい。広い敷地には、企画展を多く開催している陶芸館をはじめ、園内にある薪窯(登窯・穴窯)を使用することもある本格的な陶芸教室や、子供・初心者向けの体験教室まで、様々企画されています。天気の良い日なら、緑と陶器のオブジェに溢れた森の中を楽しく散歩できるでしょう。

そして、もう一つは、やきものと直接的には関係がないのですが、紫香楽宮跡。建物跡だけですが、歴史の息吹が感じられ、歴史好きにはたまらないところです。
 

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(2010年初出、転載・加筆修正、2023年加筆修正)