継がれていく名陶家
今泉今右衛門

update:2018/04/25

誰もが知る陶芸界の名家をご紹介していく企画の第2弾。
前回の「酒井田家」と並ぶ、色絵磁器の名家「今泉家」です。
歴代、今泉今右衛門を名乗ります。現在は14代目。

今右衛門と言えば、陶芸、古美術の世界では柿右衛門とならんで、有田の伝統ある名家として知られていますが、その名前以上に「鍋島」という名前のほうが有名でしょう。

なぜなら、今右衛門家は江戸時代、鍋島藩の保護の元に置かれた赤絵町の窯元の中で、最も技術が優れていることで、藩の御用赤絵師として、藩窯の色絵付けをしていました。
つまり、名高い江戸期の「色鍋島」は、今右衛門が絵付けをしていたのです。そして、その技術を他藩に漏れることを防ぐため、一子相伝として保護していたそうです。

近代に入ると、藩窯はなくなり、今右衛門も一つの窯として存続を続けます。11代は宮内庁御用達、12代は色鍋島技術保存会の代表として国の重要無形文化財の指定を受けました。そして、先代の13代、そして当代の14代はそれぞれ個人が、色絵磁器の重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定されています。

今右衛門の色絵磁器は、現在も手仕事、薪窯で焼かれた色鍋島の最高峰です。中でも、14代は「墨はじき」と呼ばれる、墨を撥水材の役目とし、描いた文様が焼くと白く抜き出る技法を用いた作品で有名です。一見、地味な表現方法なのですが、華やかで、モダンな文様の多彩さを、墨はじきが際立たせ、独特の格調高い作品となっています。

現当主、14代今右衛門は人間国宝であり、個人として「作品」は1点もので、「作品」ですから、簡単には手に入りません。展覧会などの機会に買うしかありませんが、今右衛門窯の「器」は、職人たちによる数多く作られている「数もの」ですから、デパートや直営店などで購入することは可能です。

見に行きたいという場合は、有田で最も古い建物である窯元に行くのが一番。敷地内には展示場、敷地の隣には歴代の名品が展示されている「今右衛門古陶磁美術館」が併設されています。また、東京にも直営展がありますので、そちらもいいですね。

ご興味がありましたら、ぜひ。

●今右衛門窯 佐賀県西松浦郡有田町赤絵町2-1-15
 https://www.imaemon.co.jp/

●今右衛門窯 東京店 東東京都港区南青山 2-6-5

●今右衛門窯 佐賀店 佐賀県佐賀市松原1-2-5
 
 

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(2023年加筆修正)