愛陶家的用語集
備前の徳利、唐津のぐい呑

update:2018/05/30

なんとなく聞いたことがある、あるいは知っておくと会話が弾む、愛陶家が口にしがちな言葉を集める企画の3回目です。これまた、愛陶家、さらには日本酒好きの中では有名で、金言のようなこの台詞。

「備前の徳利、唐津のぐい呑」

これは、文字通りの意味ですよ。
酒器を選ぶなら、備前焼の徳利と唐津焼のぐい呑の取り合わせがベスト、という意味。

備前焼も唐津焼も、ともに土味と素朴で個性的な造形性が魅力の温かみのあるやきものです。
備前焼は釉薬(うわぐすり)を用いず、良質の備前の土と、薪窯の中で炎や薪の灰が描く景色が魅力の焼締(やきしめ)陶。
一方の唐津焼は、朝鮮半島のやきものを影響を受け、土灰釉やわら灰釉・長石釉など、天然の釉薬が窯の温度で変化していく景色が魅力な施釉陶です。

この言葉は、いつ頃から言われるようになったのか、定かではありませんが、昔の数寄者が言い出したらしい。実際、古備前には徳利の名品、古唐津にはぐい呑の名品が多く、何となくですが、茶席の後、酒を酌み交わす数寄者たちの姿が想像できますね。実に絵になる取り合わせですから。

また、現在の備前焼の作家さんたちの多くが徳利を数多く作っています。例えば、備前焼の人間国宝(重要無形文化財保持者)だった金重陶陽の徳利などは、垂涎の的。
一方、唐津焼の人間国宝で、伝統の陶家の当主・12代中里太郎右衛門(中里無庵)も、ぐい呑の名手として知られていますね。
もし、現代陶芸で最高の取り合わせを考えるなら、この二人の酒器ではないでしょうか。。。

もっとも、この二人は物故の巨匠であり、あまりにも高嶺の花。
しかし、金重家にも中里家にも、その子どもや兄弟など、親戚で、現在も活躍中の陶芸家たちが数多くいますので、彼等の酒器を集めるのも乙なこと。
若い作家たちを、愛陶家が育てる・・・と言うのも、現代陶芸の醍醐味ですね。
取り合わせを考えながら、酒器を集める愉しさ、呑んだ時の嬉しさ。。。

やはり、備前の徳利、唐津のぐい呑!最高です。
 

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(2023年加筆修正)