やきもの本と雑誌
気になる新刊『仁清 金と銀』

update:2019/11/19

野々村仁清といえば、京焼・色絵陶器の大成者で、江戸時代初期にあって、樂家の創始者長次郎と並んで、陶工として「名」を残した人物。
…というのも、やきものは職人の世界。芸術とか工芸とか、作家とかの概念のない時代、名もない陶工たちが名作を残してきたのですから。
 
しかし、野々村仁清は別。その名は後の世まで残り、京焼ではブランド名のように使われたりもしました。
そのくらいの有名人ですが、実に謎の多い人物。生没年も不詳です。
 
そんな謎に溢れ、一方で後世に残る名作を数多く残した仁清について、中でも華麗な金銀彩と色絵の名品を紹介した本が出版されました。。
 
淡交社 刊(2019/11/06)
『仁清 金と銀』
 MOA美術館(編集)、西田宏子・岡佳子(監修)

仁清 金と銀

新品価格
¥1,870から
(2019/11/14 23:20時点)


 
実はこれ、現在開催中の展覧会図録を兼ねた書籍。
 
リニューアル3周年記念特別展 「仁清 金と銀」
会期:2019年11月1日〜12月8日
会場:MOA美術館

リニューアル3周年記念特別展 「仁清 金と銀」


 
表紙にもなっている、同館所蔵の重要文化財「色絵金銀菱文重茶碗」をはじめ、同じく同館所蔵の国宝「色絵藤花文茶壺」、京都の北村美術館の重文「色絵鱗波文茶碗」、東博の重文「色絵月梅図茶壺」、静嘉堂文庫の重文「色絵吉野山図茶壺」、そして、仁和寺が持つ重文「色絵瓔珞文花生」など、全国にある仁清の名品が一堂に会する貴重な展覧会となっています。
 
本書は、それらを紹介しつつ、仁清の意匠と作風の展開をたどります。監修者には、根津美術館顧問でで東洋陶磁史の研究者として名高い西田宏子氏と、『国宝仁清の謎』や『近世京焼の研究』などの著作で知られる京焼の研究者の岡佳子氏が名を連ねており、興味深い。
 
展覧会に足を運ぶのが一番ですが、行けない人でも、本書をぜひ。