その2「美濃」

update:2018/03/21

私的六好窯の第2回は美濃焼。主要地は、岐阜県多治見市・土岐市・可児市です。

六古窯では、瀬戸があげられますが、筆者はあえて、遊びに行くならお隣の美濃をオススメします。

美濃焼とは、美濃地方(岐阜県東部)で焼かれた施釉陶器(うわぐすりを掛けた陶器)の総称。代表的なのは、ほんのり火色で色づく柔らかい白が特徴の志野、緑の釉薬(うわぐすり)と大胆な意匠が特徴的な織部、油揚肌と称されるしっとりとした黄金色の肌を持つ黄瀬戸など、様々な種類があります。

開窯時期は諸説あります。実は、昭和の陶芸家・荒川豊藏が大萱牟田洞(おおがやむたぼら:岐阜県可児市)で古窯跡を発掘し、志野の陶片を発見するまで、志野をはじめとする美濃焼は瀬戸で焼かれたとされていたのです。
この発見により、桃山時代の志野が作られた頃が開窯とされる場合と、それよりもっと前、平安時代頃からと考えられる場合とあるようです。

さぁ、街歩きをしましょう。と言っても、オススメコースは、車での移動が必要です。

スタートは可児市。市役所などがある中心街から土岐に向かって山道(県道84号線)を上っていきます。すると、森の中に大萱の古窯跡。現在では荒川豊藏がその地に窯場を構えたため、「荒川豊藏資料館」が見所のメイン。2017年に大々的なリニューアルを行ったため、それまでは資料館のみの公開だったのが、今では広い敷地内を散策し、豊藏邸や陶房なども見学できるようになりました。もちろん、メインは資料館であることは変わりません。貴重な陶片などの資料や豊藏の名品が愉しむ事ができ、古の窯場への思いをはせる風情が残っています。

車に戻り、そのまま山道を進むと、「美濃焼伝統産業館」が現れます。作家・工芸士たちの作品展示販売をはじめ、陶芸体験のコーナーなどもあります。

さらに、会館を出て進んでいき、山道を下りに変わっていくと土岐市内へ。「織部の里公園」は、国指定史跡の元屋敷窯跡(桃山時代)周辺を歩くことができ、窯の見学はもちろん、展示室や作陶体験などもできます。

土岐市は道の駅も見逃せません。国道21号にある道の駅「志野・織部」や多治見恵那線の「土岐美濃焼街道」など、ショッピングやお食事に最適です。

そして、多治見へ。市之倉には、美濃でも特に古く、大きな窯元「幸兵衛窯」があり、さかづき美術館も併設されています。この窯元の当主は7代加藤幸兵衛で、先代は人間国宝の加藤卓男。当代も陶芸家として有名ですので、窯元でのショッピングはもちろん、作品鑑賞も存分に堪能できます。

多治見には「セラミックパークMINO」という文化振興と産業支援の大きな複合施設があり、中でも「岐阜県現代陶芸美術館」。こちらは現代陶芸中心ですが、歴史を見たいなら、「多治見市美濃焼ミュージアム」もあります。どちらも、陶芸ファン、やきものファン必見の美術館でしょう。

まだまだ、他にもいろいろ。とにかく岐阜県はやきもの観光の宝庫で、何日か掛けて回って欲しい。陶器まつりなど、イベントも様々開催されますので、そちらも要チェックです。
 

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(2010年初出、転載・加筆修正、2023年加筆修正)