やきもの本と雑誌
気になる新刊『韓国陶磁史の誕生と古陶磁ブーム 』

update:2020/03/24

李朝の壺、高麗茶碗…韓国の古陶磁に心引かれる人は、日本にたくさんいます。
 
そんな人のために、改めて歴史を学びましょう。
 
 
思文閣出版刊(2020/03/10)
『韓国陶磁史の誕生と古陶磁ブーム』
 鄭銀珍(著)

韓国陶磁史の誕生と古陶磁ブーム


 
自宅でじっくり読書。
そんな気分におあつらえ向きな本です。
450ページにもおよぶ力作で、韓国の古陶磁をじっくりと語っている本です。
 
著者は、大阪市立東洋陶磁美術館の学芸員。本書では、朝鮮半島において古陶磁を美術品として収集・鑑賞・研究が本格化する端緒となった浅川伯教・巧の兄弟の活動を軸として、近代における韓国陶磁史の誕生と古陶磁ブームの全容にせまった意欲的な一冊です。
 
日本でもそうですが、近代以前、一部の茶陶を除き、やきものは日常の雑器であり、顧みられることのなかった朝鮮の陶磁器を近代の美術工芸の観点から光を当てたのが浅川兄弟として知られています。日本においては、最高峰の茶碗の一つとして愛されている高麗茶碗ですら、朝鮮半島では特別な評価を受けていなかったのです。
(これは、秀吉の朝鮮出兵の折り、日本に大量の陶工を連れて帰ってしまったという歴史的な事実も大いに関係しているかもしれませんが。。。)
 
いずれにせよ、日本では明治の頃から、韓国の文化に心寄せた人物がいたということは、もっと多くの人にも知ってもらいたいと思います。
 
その上で、改めて、韓国陶磁史を学ぶと、一層楽しく、興味深く感じられることでしょう。
 
ぜひ、ゆっくりと楽しんでください。